「障害児の親は仕事を諦めるべき?」ある母親が寄せた悲痛な叫びと障害児保育との出会い

2019年10月23日

 

 
再び保育園入園申請。非現実的な条件……

こうした活動を経て、2015年4月、2歳児の枠で一年越しにまた保育園の申込みをしました。

面接を経て、ついに保育園への入園が認められました。
しかし、条件付での入園許可だったのです。

「胃ろう注入をする場所が保育園にはない」「専任の職員がつけられない」などの理由から「保護者が他児のいない場所で胃ろうへの注入をするのなら、入園を許可する」という行政の決定事項が告げられました。

私は電車通勤のオフィスワーカーで、毎日胃ろう注入をするために仕事を抜けることは、不可能です。条件を満たすためには、自費でヘルパーや看護師を何人も雇わなければなりません。金額にしたらひと月で数十万円かかるかもしれません。

みなさん、もし同じ通達を受けたら「できる」と感じる方はどのくらいいるでしょうか?

1年間、施設への通所などをトライした結果、ユリコの主治医は「集団保育が可能」との診断書を書いてくれましたが、叶いませんでした。

行政サイドも、保護者以外のスタッフが医療的ケア児の胃ろう注入をすることを認めるにあたっての検討材料があまりに少なく、私からの要望と前例のなさとの板挟みであったのかもしれません。

 

 
障害児訪問保育アニーとの出会い

1年間いろいろやってきて、手は尽くしたけれど、結局は仕事を辞めるしかないのか……と諦めかけたとき、運命のように出会ったのが、2015年4月にフローレンスがサービスインを予定していた「障害児訪問保育アニー」でした。藁をも掴む思いで利用したい旨を伝えしました。

障害児訪問保育アニーは、担任の保育スタッフが毎日自宅に訪問して保育をしてくれるサービスです。もちろん最初は自宅に人が来ることに抵抗がありましたし、子どもは保育士と2人きりで、発達への影響は大丈夫なのだろうか、という不安も正直なところありました。

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※画像は障害児訪問保育アニーのサービスを受ける別のお子さんのものです

でも、アニーを使い始めて気づいたんです。

それまで看護師やリハビリのための理学療法士などとだけ関わっていたユリコは、いつも「サービス利用者」「患者」という立場でした。施術してもらったり、身の回りのことをやってもらうのが当たり前のことだったのです。

一方で、アニーの保育スタッフは子どものプロ。遊びを通じて子どもの発達を促してくれます。

例えば服を着替えさせるにしても、今までは寝たまま着替えさせていたのに、アニーの林先生がズボンを座ってはかせていて驚いた事がありました。私はそんな発想すらなかったからです。

その頃ちょうどリハビリでお座りの練習をしていたので普段の生活や遊びの中にうまくその時の課題を取り入れてくれて、本人に自分でやらせたり促したりしてくださりありがたかったです。「介護」から「保育」に変わったと感じられた瞬間でした。

アニーの保育スタッフが来てくれて、ユリコが初めて「障害児」から普通の「子ども」になれたと思います。

また、障害児はとても忙しいんです。毎日療育施設に通わなければならないし、月に2~3回の往診や通院に加え、理学療法や作業療法などのリハビリ施設通所のため予定がぎっしり。

そこでアニーの保育スタッフと私たち保護者は、チームでその予定をやりくりするんです。今日はここでお迎えして、明日はここでバトンタッチして……と、まさに家族の一員のように柔軟に対応していただけるので、なんとか回っています。

ワーキングマザーが自力で数名のヘルパーさんを雇ってこうした予定を調整するのは、至難の業でしょう。というのも、ヘルパーさんは公的なサービスなので、移動は移動支援、身の回りのお世話は身体介護、本人の身の回りの家事は家事援助、通園先での身体介護は不可、といった具合に出来ること出来ないことが細かく定められているからです。

アニーでは、ひとりの保育スタッフがすべて柔軟に対応してくれて本当に助かっています。

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※画像は障害児訪問保育アニーのサービスを受ける別のお子さんのものです

 
「姉妹で同じ保育園に」の夢が叶う。生涯でたった一度のかけがえのない時間

自宅近くの保育園に通っていたユリコの姉が、お友達の妹や弟が入園してくるたびよく言っていました。

「ユリコは私の保育園にいつくるの?」

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「障害児のママとパパへ。仕事を、諦めないでください」10/18(金)利用希望者向け説明会を開催!

今年度中に職場復帰されたい方、2020年4月に職場復帰をお考えの方を対象に、「障害児訪問保育アニー」「障害児保育園ヘレン」の利用希望者向け説明会を実施します。

医療的ケアや障害、慢性疾患などが理由で、お子さんが保育園に入れず、お仕事を諦めていた親御さんはぜひご相談ください。

求職中の方でもご利用可能です。

説明会概要

・日時:

2019年11月15日(金)13:00-14:30
2019年12月20日(金)13:00-14:30

・場所:

認定NPO法人フローレンス 神保町オフィス
東京都千代田区神田神保町1-14-1
KDX神保町ビル3F(アクセス

・会場について

  – 入園検討中のお子さんやきょうだい児の同伴可能

  – エレベーター完備で車椅子乗り入れ可能

利用希望者説明会に
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フローレンスの障害児保育の特徴

フローレンスは「障害の有無に関わらず、すべての子どもが保育を受けられ、保護者が子育てと仕事を両立できる社会」の実現に取り組んでいます。

フローレンスの障害児保育は、日本初の障害児向け長時間保育、医療的ケアにも対応、子ども同士の交流による発達促進する環境を提供しています。

選べる2つの保育形態

「障害児訪問保育アニー」は、保育スタッフが障害のあるお子さんのお宅に伺い、マンツーマンで保育をする日本で初めてのサービスです。

日中は、お子さんの発達に合わせた活動を行います。近所へのお散歩などはもちろん、地域の保育園への交流保育を実施し、子ども同士の交流を通じて、発達を促します。

「障害児保育園ヘレン」は、障害のある子の長時間保育を実現する日本で初めての保育園です。

看護師、作業療法士、研修を受けた保育スタッフがチームを組み、子どもたちが安心して過ごせる環境を作ります。

フローレンスの
障害児保育について
詳しくはこちら

「どんな保育をしているの?」「利用条件は?料金は?」など、実際の保育の映像を交えながらご説明し、不安や疑問にお答えします!お子さんやきょうだい児も同伴可能です。この機会に、ふるってご参加ください!

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