障害児保育園ヘレンは、「すべてのこどもが保育を受けられ、保護者が働くことを選択できる社会」を目指し、2014年に1園目であるヘレン荻窪園を開園し、来年でまる10年を迎えようとしています。

この10年で、障害児家庭を取り巻く環境は少しずつですが変わってきました。
特に、2021年に医療的ケア児支援法が施行されたことにより、国や地方自治体が医療的ケア児の支援を行う責務を負うことが明文化されました。徐々に保育園や公立小学校での受け入れが進んできています。
初めての受け入れとなると、一体何を準備したらよいのか、何を確認する必要があるのか、そんなお声やお問い合わせをいただくことも増えてきました。
フローレンスではこれまで、障害児保育ならびに障害児家族支援事業で、2022年度までに延べ344名の障害児・医療的ケア児をお預かりしてきましたが、その経験や知見を、研修の開催や業務委託という形で、医療的ケア児を受け入れる地域の方々へのサポートをしています。
この度、東京都豊島区の区立保育園で勤務される保育士、看護師、調理師の方々を対象に座学研修を行ったのでその様子をご紹介します。

今回の研修は
・医療的ケア児も一緒に楽しく過ごせるイメージがもてる
・医療的ケア児の入園にむけた準備がわかる
という2つの目的に沿った講義を行いました。
まず、医療的ケアのあるお子さんとはどのようなお子さんか、お子さんの状態や医療的ケアについて具体的に写真を交えご紹介しました。
そして、医療的ケアのあるお子さんが、保育園という集団の場でどう活動していくか、保護者との関係性づくり、医療機関や相談支援員との連携など大事なポイントをご説明しました。
さらに、集団保育における心構えとして、どんな保育活動を考えるか、緊急時や災害時の対応、事前準備などヘレンでのケースをもとにご説明しました。

講義終了後には、グループで感想や気になったことを少人数で話し合いましたが、非常に活発な対話がされていました。
全体発表では、グループごとにどんな話をしたかをシェアしました。最近医療的ケア児の入園があった保育園の先生方から、入園までの準備や入園後の良かったお話などをシェアいただきました。

「初めてのことで不安はあるが、医療的ケアのあるお子さんについても成長を支援していきたいと思った」「職員全体で一丸となって関わることが大事」「実際に接してみると、とってもかわいい」「悩んだときには相談できる先がたくさんあることがわかった」と、初めてのことについての不安もありながらも、喜び、嬉しさ、実際の取組みなどリアリティをもって語られました。研修の内容とリンクして、非常に多くの方に響いていたように感じられました。
ほとんどの方が勤務後に参加で疲れもある中だったと思われますが、皆さん活発に話し合いをされたり、発表時にも真剣にメモをとられていて、熱量が伝わってきました。

研修後のアンケートでは
「医ケアの子がどのように園で過ごしているのか、説明を聞いてイメージできた」
「医ケアの種類もその子によって違うので、ナースやその他の機関と連携をとることが大切」といった学びや気づきをいただきました。
他の先生の振る舞いをみて、別の先生が勇気づけられたりする。先生同士も影響しあっているということがシェアタイムやアンケートからよみとれたのですが、それは障害児保育園ヘレンでも同様です。
「お子さんにとっての最善はなにか」を職種を超えて考えて連携し合う「チームワーク」、お子さんに対する思いは一緒で変わらない、ということを強く感じました。

フローレンスでは、このような座学研修以外に、看護師向けの医ケアの実技講習も実施予定で、現在講習内容を準備中です。園見学とあわせた座学研修、実技講習など組み合わせることも可能です。
受講される方の状況やニーズを事前にしっかりヒアリングし、研修内容を考えて提供することで、医療的ケア児受け入れの支援に貢献したいと思います。

初めてのことは不安もあるかと思いますが、医療的ケア児の居場所を増やせるように、支援者の皆さんのことも応援したい！そんな思いでわたしたちも直接お預かりするだけではなく、「知ってもらう」活動を行っています。 どんなことができるといいか、わたしたちと一緒に考えてみませんか？ お気軽にご相談いただければと思います。

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